小学校の教員時代だった頃、自分が子どものときと大きく変わった部分が多くあった。その中でも衝撃だったことは『遠足のおやつ』を学校側が決めていること。(自治体で違うのかもしれないが)
300円握り締め、近くの駄菓子屋で友だちと待ち合わせして、「何買う?」「やっぱりあっちのスーパーに行こう!」「もう1回駄菓子屋に行こう!」
あの楽しかった時間を今の子どもたちは味わえてないのだ。アレルギーの子が増えている観点から、学校から決められたおやつを与えた方が明らかに効率的である。時代的に、子どもだけで、買い物に行かせることか難しいのかもしれない。なので、おやつを学校側が決めて、配布することはおかしなことではない。
けれども、限られたお金で、自分の好きな物を買う経験はなかなかできない。10円の物を30個買うのか、30円の物を10個買うのか、100円の物を3個買うのか、300円の物を1個買うのか自分で選択する。自分で選択したってことは、自己責任となる。美味しい経験も美味しくない経験も自分次第である。大人ではなく、子どもに決定権を持たせるという意味でも遠足のおやつ選びは貴重な体験だった。
買い物で培われる計算する経験も失われる。大体、いくらくらいになりそうという見通しを立てる力にもなるし、強制的に自分の頭で計算することにもなる。学校で学んだ算数が活きる大切な場でもあったのだ。
『遠足のおやつ』を自分で買う場がなくなったことはとても残念ではあるが、だからといって学校側に問題があるわけでもない。様々な理由があるからこそ、一律でおやつを配っているのだから。
じゃあ、昔は良かったよねという話ではなく、同じような経験を我が子にさせたい私はいろいろ考えた。そこでたどり着いた答えは、イオンモールなどのショッピングモールに入っている駄菓子屋で買い物をさせるという誰でも考えそうな方法であった。
長男に300円渡して、「好きな物買ってきてもいいよ。ただし、おつりは少なければ少ない方が合格よ。」と伝えると一生懸命選ぶ選ぶ。新しいおやつに挑戦するのも、安定感あるおやつにするのも本人次第。それに、300円になるべく近づけるために、頭の中でめちゃくちゃ計算する。
結果、おやつを食べる楽しみだけでなく、駄菓子屋でおやつを買う行為自体も好きになった。今では、真ん中の子も一緒になって、駄菓子屋で買い物をするようになった。ショッピングモールに行ったら、ぜひ駄菓子屋で買い物を!